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オークションの遅れのお詫びと経過報告/そして認識(改題1加筆1校正2) [毎日オークション]

オークションの遅れについてお詫びを申しあげます。

当初オークションを2階ではメインにしようとしていたのですが、結局回顧の展覧会に集中してできなかったためもあります。

コレクターの心理

コレクターの方々というのは、普通は、自分のコレクションができる作品にしか興味が無いものです。大きな作品や、概念的すぎる美術作品は無視するのです。あくまでもコレクターである人自身の興味の中で作品を買おうとします。

分かりやすい例で言うと、美術史の中での草間弥生の作品の評価は、ミニマリズムの絵画の一つとしてのネット絵画の作品です。しかし実際のオークションを見ていると、このネット絵画は不評で、むしろドギツイ、キッチュな下品な具象イラストの作品が買われて行くのです。

少し高級な例で言うと、明治の鑑賞界の大作家である富岡鉄斎は、1000号を超える大作をずいぶんと描いていますが、人気のあるのは小さな扇面なのです。ところが作品を買っていない人間にとっては、大作は理解できるのですが、扇面を見ても何が良いかが良く分からないのです。つまりコレクションをしない人間には大作は分かるけれども、扇面=小品=商品の鑑賞をすることができないのです。反対にコレクターは、扇面の善し悪しは分かるのですが、1000号を超える大作は、自分に買えないという事で興味がないのです。

今回の私の作品のように「芸術憲法」とか「皇居美術館」といった政治性を含む概念芸術であると、コレクター諸氏の興味は全くもないだろうし、多くの美術関係者も引いてしまわれるだろうと思います。そういう反応は普通であって、間違いではないのです。コレクターと言うものは普通はそういうものであって、自分の芸術趣味判断の内側に存在するものなのです。そして美術界を生きる多くの人々も、美術という閉じた空間の中でのみ生きているのです。

外部に出る事

コレクターの方々に限りませんが、美術界の多くの人々も、社会の暗黙のタブーの内側で生きています。

みんなで渡れば怖く無いとばかりに、赤信号でも渡って、そういう行為の中で日本人は戦争に負けたくせに、でも今でもみんなで渡れば怖く無いと言って、赤信号を渡ってダンプカーの跳ねられているのが日本の社会なのです。日本社会は壊れて来て、経済大国などということは、もはや昔の夢になっているのに、日本社会はみんなで《崩壊》の道を歩んで行くのです。

重要な事は、孤立やのたれ死にを恐れずに、こうした集団の迷信の外部に出る事です。


私自身は、常識というものも分かりますが、しかし私にとっては色彩やプロポーション、さらには絵画や彫刻の追求というのも、こうした社会の迷信的なタブーの団子の塊の外に出ないと、もうひとつ追いきれないことになるのです。

私自身は、たとえば色彩についてはマンセル色票を使いますが、こうした事に付いても村松画廊や、ギャラリームカイさんは、そういう色票を使う事自体を弾圧して来たのです。才能があるのなら、そんなものは使わないというのです。こういう態度が日本の美術界の多くにあるのです。反対にアメリカの行けば、アメリカの一流作家は色票をつかっています。例えばジャッドは、赤青黄色のプライマリーカラーではなくて、紫、オレンジ、緑のような混色された色彩を駆使しますが、その色相はキチンと色票で確認されていて合っているのです。音は空気の振動の波ですが音楽において音程が合う事が重要なように、色も光の波の問題であり、そして知覚の問題ですので、音楽による音程同様に、色彩の組み立ては重要なのです。

皇居美術館も、芸術憲法も、情報アートであって、それは商品としての美術では無くて、フリーアートなのです。《フリーアート》の面を追わないと、コレクターに向けて作る《市場アート》も作りえないというところがあります。

情報化社会の芸術は、《フリーアート》として先鋭化するのであって、《市場アート》そのものは、《近代》という時代の物流の時代が生み出したものであって、《市場アート》は生産され続けるのですが、これだけでは先鋭化できないのです。

芸術と思想

愛玩としての美術とか、エンターテイメントとしての美術というのは、今日の高度消費社会の中では、主流を形成はします。しかし音楽を見れば、どれほど消費社会の主流で勝利者になっても、思想のないバンドは、つまらないのです。その実例をくだくだしくかくと長くなるのではしょりますが、一つだけ実例を上げれば、ストラングラーズです。1976年から始まるパンクムーブメントの中で、一番アルバムを売ったのがストラングラーズですが、しかし歴史的にパンクロック史を振り返れば、それは商業主義のバンドに過ぎず、評価の消えてしまう音楽であったのです。


美術も同様であって、思想無きアーティストは弱いのです。私の高校生の時代に英雄であったのは、林武でありましたが、今日では林武を評価するのは独立美術協会周辺/日動画廊グループに過ぎないものです。

芸術というのは、広義な意味での思想が重要なのです。思想的転向をすると劣化するのです。一番典型的なのは北脇昇の戦中の転向です。転向後、作品がつまらなくなっています。もっと分かりやすい所では晩年のミロの作品の劣化があります。現実の状況から逃亡した作品は、否応も無く劣化した売り絵に転落するのです。

アーティストというのは、最後まで果敢にラジカルに追求し続けないと面白く無いのです。とは言っても、自ずから限界があるでしょう。今回の芸術憲法の試みは、その限界にたっして来ているものと言えます。しかし西部邁氏を招いてのシンポジウムは、会場に来て下さった人々からは「おもしろかった」というという強い反応を得ています。美術が美術の外部と接した時の面白さは、確かにあったのだと自負するものです。

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額装


オークションが遅れているもう一つの原因は、額装を追求してしまって、その展開ゆえに遅れてきています。今日も《超1流》の額をさがして新しい額屋さんに行って2つ買い、3つを注文して来た所です。

《超1流》の額を使うと、制作段階から変えざると得なくなる事が分かりました。紙も輸入の水彩紙にしなければならないし、描く素材もレベルを上げて、伝統的な筆やペンにする必要があります。

もう時間もないので、いい加減にして、《超次元》のものを2〜枚数程度で、 とにかく7点はアップしたく思います。

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反対に《6流》の額に《6流》の作品を入れるということもやっています。こちらの方が、実は熱が入っていて、これが良くて、自分で感動しています。つまり《第6次元 自然領域》を嫌悪していた彦坂尚嘉が、《第6次元 自然領域》で、しかもデザインの表現を面白いと思うようになっているのです。それはフランシス・フクシマの『歴史のおわり』の影響も大きくて、ニーチェの言う《最後の人間》の時代であると認めると、この最後の人間》を対象とした表現がリアルになって、制作を面白いと思えるようになったのです。

私のオークションでは、『アートの格付け』をするせいもあって、実は《第6次元 自然領域》の作品はあまり売れていないのです。だから無駄な努力と言えますが、しかし今日の表現状況を自分の趣味を超えてリアルに把握する努力をして行こうとすると、こうした《第6次元 自然領域》の作品を自分で作り、この額装を額とマットで追求することに意味があるのです。

こういうことをすると、最初に《超次元〜Ⅰ00次元》の《真性の芸術》作品をつくって、これを《第6次元 自然領域》のデザインワークに落として制作すると、かなり面白い作品になるのです。つまり今日の巷に氾濫する《第6次元》作品の出生の秘密が良く分かります。しかもこれに《第6次元》の額をつけると、それが良くマッチするのです。つまり観客自身が大衆で、《第6次元 自然領域》を生きている人の場合、当然のように《第6次元 自然領域》のデザインワークが、良くマッチするコレクションであると言えるのです。あ

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もう一つは下北沢にあるBlonde on Blondeという古着屋さんとの提携を試みようとしています。


この古着屋さんで栃原比比奈さんが働いていて、現在もshopの製作に関わっているからです。このBlonde on Blondeのオーナーの菅さんが、人物においても教養においても尊敬できる深さのある人で、彼のオリジナルデザインのバックや、ヨーロッパ古着の上にアートワークをする試みをしようと模索しています。今晩も下北沢に行って打ち合わせをして来た所です。

バックや衣服は、《原デザイン》や、《原大衆芸術》という要素はあるのですが、ここに《原芸術》を加えてみようという試みです。今日の結論としては、描き加える素材が、それなりの違和感を持つ素材でないと、なかなか《原芸術》の付加にはならないという事でした。

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最後に、シート売りの継続をお約束しておきます。額縁を組み合わせた作品を高品質で、しかも低価格で提供は致しますが、基本としてはシート売りを継続して、より安くコレクションを形成できるようにして行きたいと思っています。

この不景気の時代に、実際に作品が売れて行くかどうかは分かりませんが、じかし私の方から言えば、長年の疑問といったものを解き明かしながら、自分の制作を追う事ができれば、悔いの無い人生であると言えます。今追っている額縁のことも、今までも何度も挑んできている事であって、それが展開して、微細な変化と調整を成し遂げることが出来るようになって、その技術的な達成には喜びがあります。

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